INOKI K-1 NEW JAPAN
永田、秒殺されるが安田は大金星!バンナをギロチン葬!



K-1軍vs猪木軍 全面対抗戦7対7 大晦日、世紀の決戦。初戦から4試合連続ドローとなり大会・興行として最悪の流れになるかと思われたが後半3試合が劇的な結果に終わり、興行及びテレビ番組としても成功といえる大会になった。ドローが増えるルールなど改善点は多くあるものの今後のK-1軍vs猪木軍の動向に期待する。



K-1 vs 猪木軍 対抗戦 第7試合
猪木軍
日本 フリー 38歳
2R 2分10秒 K-1軍
フランス 29歳
安田 忠夫
タップアウト
(ギロチン・チョーク)
ジェロム・レ・バンナ

「アヤ、お父さんやったぞー!」安田、大方の不利の予想をふっとばし、K-1軍大将格のジェロム・レ・バンナを破り大金星をあげた。バンナは総合格闘技を馬鹿にしたような発言でこの対抗戦の発端を作った人物といっても過言ではない。K-1での戦い方や、体格、性格、どれをとっても対猪木軍の最強の刺客と注目されていたバンナに対し、自他共に認める猪木軍最弱といわれていた安田。しかも、前回の対抗戦でレネ・ローゼにハイキックでKOされ白目をむいて失神した安田。誰もこんなカードがメインにくるとは予想だにしていなかった。猪木マジック。藤田は怪我、小川は逃避で2大エースを欠いたとはいえ、そんな安田をメインにしかも相手がバンナというカードを組んだ猪木の発想に驚いた。もちろん、その裏にはTBSサイドからメインは話題のある日本人選手をという要求があり、テレビ的には相撲からプロレスへ30代で転向、ギャンブルでつくった多額の借金により家族にも捨てられ離婚、母親についていった自分の娘との関係等などバックストーリーには事欠かない安田は適任だったと言える。しかし、勝ち負けを考えた場合は疑問符をつける人のほうが圧倒的に多かったはず。そんな声の中、結果は安田の完勝。大晦日に奇跡を呼んだ。

バトルサイボーグの殺人パンチを怖がらず突っ込んでいく安田。テイクダウンに成功し、ハーフガードの状態から攻めるが決め手を欠く。途中、柔道の経験のあるバンナに体勢を入れ替えられマウントポジションを取られる。しかし、何とかしのぎきり袈裟固めの状態になってもじっと耐える安田。1R終了のゴングでブレーク。2Rに入っても勢い衰えず安田は突っ込んでいってバンナに密着、外掛けでテイクダウン、ハーフガードの状態から前腕をバンナの喉に押し当て体重をかける安田。ギロチンチョークがきまり バンナたまらずタップ。バンナも喉をやられたから仕方ないといったゼスチャーをみせながらコーナーに引き上げる。安田も観客も大興奮。猪木もリングに駆け上がり、祝福のビンタ、そして涙ぐみながら安田の頭を抱き寄せた。


K-1 vs 猪木軍 対抗戦 第6試合
K-1軍
クロアチア クロコップ・スクワッドジム
27歳
1R 0分21秒 猪木軍
日本 新日本プロレス
33歳
ミルコ・クロコップ
TKO

(ハイキック)
永田 裕志

2001年G1クライマックス王者の永田裕志がプロレスラーのプライドを賭けて元同門の藤田や高田を病院送りにした”プロレラーハンター”のK-1選手ミルコ・クロコップに挑んだ。しかし、なんと試合開始早々、タックルで組みに行った永田を首相撲のような形でうまくいなしたミルコは距離を取り直し軌道の読めないすばらしいハイキックを永田にきめた。ミルコのヒザの動きにつられるように永田は右のガードを下げたところにミルコの蹴りが吸い込まれていった。背を向けるように反転してロープ際にダウンした永田に即詰め寄りパンチを降らすミルコ。背を向けるだけの永田をみてレフェリーがストップ。なんと21秒の秒殺だ。これで新日本プロレスのシングル王者が二人ともミルコに秒殺されたことになる。プロレスファンにとってはなんともストレスフルな状況だ。しかし、間近で決まった初の総合格闘技戦に過密なプロレスの巡業をこなしながら準備し、挑戦した永田の勇気ある行動に拍手を送りたい。しかも、1.4に自分のリングでの大一番を控えてのリスクある戦いに挑んだ永田の今後の行動に期待する。


K-1 vs 猪木軍 対抗戦 第5試合
猪木軍 米国 36歳
2R 0分34秒 K-1軍 フランス 24歳
ドン・フライ
タップアウト
(チョークスリーパー)
シリル・アビディ

すばやいタックルでアビディに密着するフライは持ち上げるようにアビディを抱え上げリングに叩きつけるようにテイクダウン。1Rが終わるといつのまにか右のまぶたがふさがってしまっているアビディ。2Rも果敢にアビディも前に出るが、上のポジションをキープし、グランドでアビディをコントロールするフライはサイドやマウントのポジションを変えながら最後はチョークスリーパーでアビディからタップを奪った。さすがの”ケンカ屋”アビディも”元UFC王者”のフライが相手では成す術がなかったようだ。


K-1 vs 猪木軍 対抗戦 第4試合
猪木軍
日本 新日本プロレス 33歳
5R終了時 K-1軍
日本 正道会館 26歳
石澤 常光
ドロー

子安 慎悟

ケンドー・カシンこと石澤がタックルで子安をテイクダウン。ガードポジションからパンチを落とす石澤とそれを何とか耐え忍ぶ子安。スタンドではローキックやかかと落しも繰り出す子安だが下になる状況が多くなる。5R戦い抜きドロー。


K-1 vs 猪木軍 対抗戦 第3試合
猪木軍
トリニダード・トバゴ 35歳
5R終了時 K-1軍
ブラジル 32歳
ゲーリー・グッドリッジ
ドロー

エベンゼール・ブラガ

両者、果敢に攻め合うが、お互い友人同士ということでやりにくかったという両者。コーチ役として来日するはずだったブラガが行き成り選手に抜擢され、準備不足もあったようで、グッドリッジにいたってはレイ・セフォーからレネ・ローゼ、そして結局はブラガと対戦相手をコロコロと代えられ集中力を欠く状況でもあった。しかし、両者共ベテランでなかなかディフェンスの技術にも長けており上になっても攻めあぐねる。あっという間に5R終了。


K-1 vs 猪木軍 対抗戦 第2試合
猪木軍
日本 高田道場 36歳
5R終了時 K-1軍
オーストラリア 34歳
佐竹 雅昭
ドロー
サム・グレコ

元K-1選手の佐竹と8年ほど前にK-1で佐竹をKOしたことがあるが1年半ほど前にK-1はセミリタイアしているグレコの対決。佐竹が組んで行くところをフロントネックロックで捕らえて締め上げるグレコ。2度も捕らえたが何とかそれを耐え抜いた佐竹。グレコのローキックを時折きまるが、佐竹もグランドで上になりパンチを落とすチャンスもあった。しかし、決定打はなく、時間切れドロー。


K-1 vs 猪木軍 対抗戦 第1試合
猪木軍
日本 高田道場 39歳
3R終了時 K-1軍
南アフリカ 32歳
高田 延彦
ドロー

マイク・ベルナルド

この試合だけ特別ルールで3分3ラウンド制。高田のタックルが怖くて打撃を出せないベルナルドとベルナルドのパンチが怖くてタックルに行けない高田は見合ったままほとんど触れ合わず時間だけが過ぎてゆく。お互い負けない、勝負に出ない戦い方に徹し、そのまま試合終了。足の骨折が完治していない状態で戦った高田の意気は評価できるが試合内容としては神経戦以外何もなく大ブーイングを浴びた。試合後、「肉体的にも、精神的にも、もう限界」という高田は次の試合を最後に引退すると表明した。